平成ウルトラセブンについて
平成ウルトラセブンには、既に賛否両論の意見が渦巻いていると思いますが
私も言いたいことが山ほどあります。肯定論者からは「別の作品として見るべき」
という意見もあるようです。私は別の作品だろうと、続編だろうと、セブンを格好
良く描いてくれるなら嬉しいと思っています。はたしてそのような眼で見た場合、
平成セブンは如何なものでしょう。


 1. TVオンエア版2作

「太陽エネルギー作戦」では、他兄弟の誰でもない、セブンを
地上波に復活させてくれただけで嬉しかった。現代に通用する
のは、やっぱりセブンだけでしょう!と思ったものでした。
変身シーンがないのは残念でしたし、内容もイマイチだったけど
まぁイベント作品だし、許せます。
半年後の「地球星人の大地」では、ダンも復活!アクションも
こなす森次氏の、相変わらずのカッコ良さにシビれました(フル
ハシって呼び捨てはマズいけど)。
更に半年後、続編を期待しましたが、その気配なく、がっかりし
               た覚えがありますが「もう少し見たい…」という期待を残して、
               ここまでにするべきだったかもしれません。


 2. Vap ビデオ3部作

この3部作がとにかく最悪でした。
当時の「平成ウルトラマン」の出来の良さから
して、期待してたんですよ。色眼鏡で見ずに。
だけど、誉められる所ありますか?
まずセブンの顔が最悪にカッコ悪い。前2作も
格好良くなかったけど、これは『カッコ悪い!』
酷過ぎる(泣!)アトラク用の流用なんでしょう
   けど、こんなの別人だよ。だから、登場の仕方も悪かったんだけど、ガッツ星人の回
   に出てきた時なんか、せっかくそれまでSFチックだった雰囲気まる潰れ。まぁどうせ
   その後の展開も最悪なんだけど。私、セブンが出てきて「ひっくり返っちゃった」なん
   て初めてです。ついでに後の展開だけど、なんでセブンは、あんな強硬に、自分の
   意見を主張するわけ?前のセブンはそんなことしなかった。以前のセブンと比較す
   るのを避けても、ガッツはそんなに悪い奴なの?だって地球人を説得するために、
   セブンを無傷のまま、催眠コントロールもせずに帰してるじゃない。悪意があるなら
   セブンをコントロール下におくなり、いっそ殺してしまうことだってできたはず。そうし
   なかったのは、セブンなら自分達の正当性を理解して理性的な立場から、地球人を
   説得してくれる、と思ったからでしょう?セブンなら「わかってくれる」という恩情を
   アダで返すなんて。地球人の自主性を信頼すべきだし。
 
   今回のガッツの行動は、新興宗教の域を脱しているようには思えない。なのに、
   ウルトラ警備隊も、いきなり攻撃?基地の中には洗脳された地球人もダンもいるん
   だよ?ダンがセブンじゃなければ死んでるよ?事実、罪のない女の子を殺したのは
   ガッツじゃなくてウルトラ警備隊だよ。これじゃあ、ガッツも怒って怪獣従えて反撃に
   転じても当然。ウルトラ警備隊は酷い!ザンパ星人や、ノンマルトの時とは状況が
   違うよ。こんなんじゃ、最終章のラストで宇宙の掟を破る以前に、セブンも地球人も
   宇宙の正義からソッポ向かれるよ。
 
   そんな恐ろしいウルトラ警備隊のわりに、以前のような国家規模の精鋭部隊でなく、
   MATみたいな弱小団体化してる感じだし、この3部作ではシラガネ隊長を除く、他の
   隊員たちの演技力皆無も何とかして欲しかった。
   森次さんも、第1話冒頭で、炎の前で半裸になっちゃったりして、ヤリ過ぎ。いやらし
   い中年丸出し。
 
   特撮も現実感がない。コスチュームの素材やVTR撮影のせいとか、いい訳はあるか
   もしれないけど、漫画チック。平成ウルトラマンは同じ条件なのに現実味のある映像
   なんだから、いい訳できないはず。予算がないなんて理由を挙げるくらいなら、初め
   から制作しないで欲しい。前作から引き続き出演のホーク1号も成田亨の芸術的な
   面構成がまるで理解されておらず、おもちゃ同然…。
 
   そして、もう、目の前真っ暗になってしまったのが、第3話「太陽の背信」。何だよコレ、
   お話にならない。いくら別物と思えったって、こうまでするならセブンにするなよ。この
   村人たちの騒ぎは何?昔の東映戦隊物の大ハズレな回みたい。もぉヤダ…。

 あ、唯一ほめるトコ、あった。
 新必殺技『ハイパーワイドショット』!セブン本放映当時、
 ワイドショットは“宇宙最強の光線”という記述がされて
 いたのに、弟達や長兄を持ち上げるため、ワイドショット
 の魅力がどんどん色褪せ、嘆いておりました。M87光線や
 ストリウムが何だ!これで宇宙最強光線の地位を取り
 戻せるかもしれない。以前、帰マンのシネラマショットまで
 「ワイドショットより上」という記述を読んだ時には、涙が
 出そうになったものです…。


 3. 1999最終章

   セブンの顔はずいぶん良くなりました。でも出っ歯な印象。眼の材質は仕方ないのか
   なぁ。昔通りの顔じゃないのは我慢するけど、現実味が感じられないのは眼のせいじゃ
   ないかなぁ。
  
新造のホーク3号は、ポピニカっぽいけど1号よりずっと良い。
許せる。ただ、「汚し」はウソっぽい。昔ブロップのは汚したっ
ていうより、実際汚れちゃってたんでリアルなのかなぁ。
俳優さん達の演技力は格段に上がったと思う。もちろん
「まだまだ」だけど、前回酷かったから…。逆に毒蝮さんは
いつまでたっても…っていうか、オリジナルのセブンの時は、
特別 大根ではなかったように思うが…。
  
   脚本はもうひと頑張りだなぁ。なんかスケール小さい。
   「空飛ぶ大鉄塊」、「約束の果て」は良かった。これぞウルトラセブン、現代に通用する
   SFしてる。写真で大鉄塊の着ぐるみ見た時は「レトロ」な良さって、そういうことじゃない
   だろう!と憤慨しましたが、映像見て納得。いいお話でした。「約束の果て」の、バック
   トゥ ザ フーチャーばりに展開するタイムトリップも良かった。
  

キングジョーはなぁ…。私はちょっと…。
合成による新たな不気味さを、高い評価する人もいる。
結局、最終章の評価を落としてるのは、最終話「わたしは
地球人」の“ノンマルト話”だと思う。ガッカリでした。渡辺
典子さん、好きな女優さんだったから期待してたのに…。
…陳腐。それ以上言いたくないもん。

内容ではないけど、佐々木功さんの唄は勘弁して欲しい
  
   私、ロボットアニメや、ヤマト世代ですから、佐々木さんも好きですよ。巨人の星世代でも
   あるけど、「新・巨人の星」のテーマソングを佐々木氏がカバーしたのも抵抗ないです。
   でもセブンには合わないよ。ハイソサエティな雰囲気ぶち壊し。浪速節なんだもの。
   その手の歌手を使うんなら、せめて子門真人にして欲しかった。マニアにはハワイ版で
   なじみがあるし、彼なら少なくとも浪速節にはならなかったろうに。バラードも臭い。


 4. 平成ウルトラマン

平成セブン制作以前、「『ウルトラマンティガ』は平成のセブンだ」と言われ
ていた時期がありますよね。特に後半は「平成のウルトラセブン」と呼ぶに
ふさわしい内容
でした。現代風にアレンジされた「セブン」は見るべきものが
充分にあり、惹きつけられました。50話で、ゾイガーを倒したのち、ダイゴと
レナの恋愛を覆すほどの危機が迫る描写は素晴らしかった。「ウルトラ」も
ここまで来たか、という気がしたものです。ラスト近くになって、円谷英二や
   初代ウルトラマンがゲスト出演する夢物語を挿入できるなど、遊びも充実したすばらしい
   シリーズでした。ただ、やり過ぎの実相寺作品をはじめ、ややセブンの焼き直しに頼った
   造り
であったことはいなめません。セブンに並びこそすれ、追い越すまでは無理でした。
  
その後のダイナは「ウルトラマン」を目指して失敗した感じ。ウルトラマンを
現代に蘇らせるのは無理
ですよ。主役はともかく、周りを固める俳優陣の
演技力にも問題大あり。まぁ楽しい作品ではありましたけど。

そして始まる平成ウルトラマン3作目、ウルトラマンガイア
私はこれこそ平成のウルトラセブンと思います。ティガやダイナに比べて
   戦闘的なガイアのフォルム、「青いウルトラセブン」とも呼ばれたアグル。ウルトラ警備隊
   と同程度の規模を誇る、防衛軍の精鋭=“XIG”のプロフェッショナルな陣容。主役を含め、
   俳優陣の演技力も高い。ダンの好青年ぶりを引き継ぐ主役の我夢と、悩める姿を引き継ぐ
   藤宮、ダンを2人に分けて再現しています。特撮も前2作で培った技術をふんだんに使い、
   合成技術を含めたVTR特撮も完成の域に達した感がありました。
   などなど、もう、私、誉めチギリ。「とうとうセブンを超える作品に出会えた」と感じました。
   30年かかりましたね。話は子供向けとしては若干複雑でしょうか?でもそのへんのツボ
   もきちんと押さえ、子供を飽きさせない造りも秀逸です。
 
                
 
   半年遅れで仮面ライダーも復活しましたが、ガイアに続いて、もうビックリ!完璧な作品
   です。スゴイ部分をあげればキリがありませんが、特にすばらしいのは、全ての敵キャラ
   が『立って』いること。これはガイアでさえできなかった、というか、この全敵キャラが立っ
   ている、というのはウルトラQ、ウルトラマンくらいなもので、セブンや1期本郷ライダーが
   なしえていたかどうか。仮面ライダークウガは最高です。
 
   ただ、やっぱり私はウルトラマンの方が好き。作品の完成度はクウガに軍配挙がるけど
   ガイアに愛着感じます。「アギト」は中途半端でしたねぇ。「コスモス」も納得いきません。
   2002年4月現在では「仮面ライダー龍騎」が素晴らしい。面白いです!


 5. 今後の平成ウルトラセブン

   ビデオ版セブンは、まだまだ新作ができるようです。そのたび期待しているんですが、
   裏切られることも多く、憂鬱半分でもあります。2002年版も縫いぐるみの造型を見た
   限りでは「またか…」という気持ちになりました。大鉄塊のように良い方に裏切られると
   よいんですけど。小中千昭さん、ホン書いてくれないかな…。
 
   まぁ、何はともあれ、新作続くというのはスゴイことです。そんなのセブンだけですから。
   可能性をを信じて、これからも応援していきたいです。